自閉症スペクトラムと診断されて

2歳で境界知能ASDと診断された普通級に通う6年生男児を育てる母の子育て記録

NHK Eテレ 子どもの発達障害

今年の1月18日にEテレでやっていた「子どもの発達障害」徹底解説の番組まとめです。


お茶の水女子大学大学院 榊原洋一教授
以下教授のコメントです

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そもそも発達障害とは?

発達障害というと、病気とか障害というところにとらわれてしまうんですけど、一般に考える病気とか障害とはちょっと違う状態と考えたほうがよくて、
むしろ個性とか性格、もうちょっというと癖といったような、そういうような状態と考えればいいと思う。


発達障害のお子さん達はいくつかタイプがあるのですが、生まれつき人の気持ちを理解するのが下手だったり、あるいは自分の気持ちをコントロールすることが下手だったり、読み書きがどうも上手くいかないという特徴がある。


上記の特徴は私達の中にもあることなんですが、その程度がある程度強くて、そのために日常生活の中で困難がある。そういう状態に対して名前が付いている。


対応の仕方としては、お子さんに上手くいかない苦手なことをサポートしてあげることが対応としては非常に重要なんですね。


私(教授)、文部科学省から研究費をいただきまして、日本全国の400人の学校の先生、幼稚園保育園の先生から、3000通りの発達障害によく見られるような行動に対して、どうサポートしてあげればいいかという事例を、それも効果があった事例を集めた「学校・園における 子どもの発達障害サポートブック」にしてまとめたんですけれども
さまざまな場面で対応が必要だっていうことで3000通りあるんですね。


実際に市販で「発達障害のある子のサポートブック」になっています。
この中でどういうようにサポートすればよいかを考えている。
一通りじゃなくて、1つの適応が難しい、困難な行動に対して何通りもの対応の仕方がある。そのことを知っておく必要がある。



発達障害のお子さんの数はどのくらい?

2012年に文部科学省が日本全国の小中学校のお子さんを対象に発達障害の特徴のあるお子さんがどのくらいいるかをきっちり調べました。
その結果、自閉症スペクトラム1.1%
注意欠陥多動性障害3.1%。もうちょっと多いと思われます。
学習障害読み書きが上手く出来ない、学習が困難な子どもも含まれていますが4.5%

一人のお子さんの中にこれが重複している場合もあるんですが、全体の6.5%、30人クラスに2人くらいそういうお子さんがいるということがわかってきています。



原因はわかっているのですか?

脳の機能障害、脳のはたらきが上手くいっていない状態があるんじゃないかといわれていまして、脳の働きをつかさどっている、行動や感情を調節する多数の遺伝子が関係して起こっていると言われている。

発達障害というと、育て方と躾とか環境が悪いんじゃないかと考える方もいると思いますが、そうではなくて生まれつきの原因がある。
本人自身が悪い訳でもない、親御さんや学校の先生がうまくやってない為ではない。



自閉症スペクトラムはどういうものなのか?

全体に総称して自閉症スペクトラムとついていますが、実際にはその中でわかりやすく、自閉症高機能自閉症アスペルガー症候群
という程度によって少し違う3つの類型がある。
4つの項目
・コミュニケーション
・言葉の遅れ
知的障害
・こだわり
の組み合わせなんですが

自閉症はコミュニケーション非常に困難強い。言葉の遅れがありますし、なかには言葉がなかなか出て来ないお子さんもいます。知的障害があって、こだわり、独特のものにこだわるという特徴がある。
小さい時から言葉が出て来ない。それから何か強いこだわりがあって、言葉が出て来ない。あるいは理解が遅れるという特徴があるお子さんです。


高機能自閉症はコミュニケーションの障害はあるんですが自閉症ほどではない。言葉の遅れはあるんですが次第に追い付いていくこともあって、後でなくなっていくんですね。知的障害が無い。こだわりが結構強い。ある独特のこだわりがあって、お友達関係ができないとか、集団の場面で様々な困難を抱えたお子さん。


アスペルガー症候群はコミュニケーションが困難なんですが、言葉の遅れや知的障害が無いので、少し困難。こだわりがありますけど、どちらかというと知的なこだわり。趣味の要素が強い。中には非常に芸術の才能などを持った人もいるというのがアスペルガー症候群。コミュニケーションが困難なために、日常生活で様々な困難があって生活も苦労しているという状態があります。


共通している点は?

スペクトラムの全体がコミュニケーション、対人的なコミュニケーションが上手くいかないことと、非常にこだわりがあるということが共通の特徴になります。言葉と知的障害についてはいろいろだということがわかると思います。


うちの子はどうなのかしら?と気になるお母さんもいらっしゃると思うのですが。もし気になったらどうしたらいいい?

自閉症スペクトラムのお子さんは生活の全ての場面でその特徴が出て来ます。ですから例えば病気に肺炎になったら病院に入院して治療すればいいということなんですが、自閉症スペクトラムの場合は家庭・社会・学校、様々な場面で対応していく。親御さん一人で出来るものではない。
生活の中で様々な困難を抱えて生きていくお子さんなんですけど、対応としては親に叱られたり仲間外れになることが多かったりして二次障害という状態になるんですが、二次障害には不安障害や、社会に適応するのが非常に困難になるというようないくつかの種類がある。
全体、チームとして対応していくということが重要と言えると思います。
脳の機能障害ですが、サポートをすることによって二次障害をいかに防ぐかっていうのがポイントになると思います。



早く気づくことが必要だと思うのですが心配があるときはどうしたらいいですか?

実際に心配がある場合は専門は小児神経科(榊原教授)とか児童精神科。お医者さんに行くのはちょっと気が重いっていう方は、保健センター、子育て支援センター、児童相談センター、児童発達支援センターなどで適宜受け付けていますので、こういう心配があるんだっていうことをお話されればいいと思います。


薬を処方されることもあるということですが?

病院ではこういう状態であると見立てをするわけですが、さらに自閉症スペクトラムで薬を使う場合は2通りありまして、ひとつはてんかんの発作ですね。ひきつけなど、これは4人に1人のお子さんに見られますので、そういうのがある場合にはそれに対応するために対処的に抗てんかん薬を使う。

もう1つ、パニックと言いますか興奮したりすることが多いことがわかっていますので、感情を調節する薬を病院などで出すこと、そういうところで薬を使用することもあります。こういう事がない方の場合だと必要ではない。


具体的にどのようにサポートしていったらいいのか?

重要なことは日常生活のいろんな場面で起こることと、一人一人個性が違いますので、いろんな対応の仕方をしていかなくちゃいけない。
一人一人に合わせてやっていかなくちゃいけない。
あるお子さんにはこのやり方はあるけど、別のやり方をやってみよう。というような対応をしていく必要がある。


例えば、極度に興奮する。自閉症スペクトラムのお子さんは敏感な為に泣き叫んでしまったり、時には頭をドンドンと打ってみたり、自傷行為といって自分に噛みついたり興奮することがあるんですね。そういう場合にどういう対応をしたらいいか、実際に有効だった方法をいくつか集めました。

・落ち着くグッズを持たせる(母親のタオルなど)
・別室に移動させ、落ち着くのを待つ
・以前興奮した場合と同じような場面になることを避ける
など17 通りが作成した本に書かれており、どれがうまくいくかを試してみることが重要だと思います。


トータルとして子どもをサポートしていく上で大切な事は?

自閉症スペクトラムのお子さんはどの場面でも上手くいかなかったり、パニックになったり、場の雰囲気が読めないというのがあるので、非常にストレスも多いし、成功体験が無くて、どうも叱られることが多いんですね。そのために自信が無くなってしまう。
大事なことは、良いところを見つけてほめて、自信を持たせてあげる。良いとこ探しをして良いところをほめてあげましょう。というような対応が重要であると思います。
普通の親は良いところはほめて悪いことは叱るのがある意味では育児の常識だったんですね。そうじゃなくて、いいところを探してほめてあげるということが重要であるというふうに考えられます。



ほめ方のポイントは?

手放しでほめる。本人自身が何かやっても努力したとプロセスをほめてあげる。
ほめ方も簡単な言葉でストレートにほめてあげる
良くできたね!頑張ったね!と言ってあげると、本人自身も自信がつくし、自分は認められているんだという感じで不安が少なくなります。
年齢が小さいお子さんの場合は言葉以外の表現も使う必要がありまして、抱きしめる、ごほうびをあげるという方法で本人をほめてあげると、やる気も出てくるし、自信も出てくるということです。
自尊感情、心のエネルギーを強めてあげる対応方法ですね。これが必要だと思います。


ここが大事なことで、障害と言うと治してしまうと
いう感じになるんですが、治すんではなくて、個性のようなものですので、むしろ違いだと、この子の個性である、癖であるというとらえかたをして、それを治してやろうという考え方で対応してはいけないですね。
本人のいいところがあったらほめてあげて、本人に自信を示してあげる。そういうかたちでやると、本人も余裕を持って、親との関係が出来てくると思うんですね。
これ、杓子定規にやってしまうと、全部ダメなとこはダメと言ってしまうのが大事じゃないかって言うんですけどね、そうではない、違いなんだと、治すんじゃないと考えるとですね、明るい人と暗い人がいて、性格を治してやろうなんてことは普通しませんけど、そういう考え方でお子さんに接してあげると、その自信を元にだんだん伸びていくことが言えると思いますし、二次障害のようなことも少なくなると言っていいと思います。


実際人間関係ですので、人間関係っていうのは子どもとまわりの人の間にあると考えていただいて、子どもだけに変わるのを求めるのではなくて、私達自身の対応を変えることによって、本人自身の困難も少なくなる。ということが重要なポイントだと思います。


長くなりましたが、私のメモも兼ねた記事になってます。