自閉症スペクトラムと診断されて

2歳で境界知能ASDと診断された普通級に通う6年生男児を育てる母の子育て記録

3年経過して思うこと

息子の「自閉スペクトラム症」の診断から3年が経過しました。
今月息子は6歳になります。



振り返ってみると本気で息子と向き合った3年間だったと思います。
向き合った結果、診断から2年10ヶ月後にはもう病院には来なくていいと主治医に言われるほど息子は発達しました。
本当に言葉にできないくらい嬉しかったです。
本人が一番頑張ったとは思いますが、今までの私の努力がだいぶ報われたと思いました。
発達も平均くらいには追いついたと思います。
すべてが順調な訳ではなくて、お箸もまだ練習中だし、偏食もひどいし、息子の学力的な部分でも悩み中です。




他のお友達と同じようにいろいろな事が出来るようになり、普通に過ごすことができるようになった。
日々息子は幼稚園や家でもとても楽しそうだし、そんな姿を見ているととっても幸せです。
会話でのコミュニケーションが取れて、世間一般の、普通の子育てに近い状態になってきたことが本当に嬉しい。




正直、ここまで発達するとはまったく思ってなかったです。
幼稚園に入園前後は本当にひどかったですから。
激しい癇癪。
言葉でのコミュニケーションは難しいし、そもそもお友達と比べても出来ることが少なくて、教えてもまったく身につかないことの連続。
とにかく一緒にいると異様に疲れる日々。普通の行動が普通に出来ない。
子育てが大変のレベルが明らかに、他のお子さんとは違っていましたよ…。



良くも悪くも、子どもってどういうふうに発達していくか、成長していくかは誰にもわからない。
私が子どもにできることは、子どもときちんと向き合って丁寧に子育てしていくことだと思う。
放ったらかしたり、手を離すのは簡単。でも見守るという名の放置はしたくない。
必要なことは何度でもしつこいくらい教える。
特に息子のような子は、親や周囲の働きかけや、親が子どもに合った環境調整をしてあげることがとても大事だと思うし、予後に関わってくることをこの3年で実感している。




診断がついたからこそ、親の私がなんとかしなければと思った。いろんなことを諦めたくなかった。
癇癪持ちな不適切な行動ばかりの自閉っ子の息子のありのままなんて、到底受け入れられませんでしたよ。
場面にそぐわない行動、人に迷惑かけてしまう、ルールを守らない。など…
他の人にしてみたらただのわがまま過ぎる、ちょっとおかしな子どもにしか見えません。
ダメなものはダメだと思うから、礼儀、マナー、挨拶などに関しては結構息子に対して厳しい態度で接しているつもりです。



息子が自閉っ子で良かったとはまったく思いませんが、診断がついたからこそ、必死になって情報収集して動いたし、息子と関わった。
療育や日々の働きかけなどなど、調べて実践して、時には誰かに相談したり。
わざわざ鹿児島の精神科医のところに足を運んだりもしましたしね。




大げさじゃなくて【私よく生きてたな】とも思う。
泣いて落ち込むことがしょっちゅうでしたし、死にたいとか、息子がかわいくないとか、定型の子が羨ましいとか毎日思っていたダークな時期が半年以上ありましたからねー。
発達が遅れている上に、自分の息子は発達障害児
誰にも言えない苦しさが今もずっとあります。
いくら仲が良い友達でも、実親でも息子の診断名は言えない。
理解してもらえないし、告知したところで気持ちは晴れないからです。
障害の受容っていう言葉を聞くけれど、私の中ではどうでもいいこと。
そんなこと受け入れられていても、いなくても、今置かれている状況に変わりはないんだから、そんな事を考えるより、現実の息子には何が必要で、何をしたらよいのかを考えて行動することに必死でした。




今後は本人に告知するかはわかりません。
診断はついているけれど、そういう特性持ちの子で今のところは大きな困難も無く普通に生活出来ているし、まぁいいか。という心境です。
わかりにくい自閉っ子だけど、見る人が見ればわかるのかも?という感じですかね。
特性がマイルドになったのは、療育のおかげなのかもしれません。
最終的に働ける大人になればいいんです。
たとえ偏りがあっても、ほかの能力でカバーできていればいいんです。



まだ5歳なので、親が気にかけて教えたり、促したり経験させたほうが良いことはいろいろあるのだけれど、診断直後に比べると子育てはかなり楽になった。
言語能力も上がってコミュニケーションが取りやすくなったし、自分で出来ることが増えたから楽になったのだと思う。



でも就学を前にして課題も出てきた。
家庭での学習はやりたがらない。
勉強させるために私が怒ってしまう。
何度説明しても理解出来ない。
息子の知能レベルが世の中の普通くらいなのか、あまり出来ない方なのかわからないのですが、最近プリントをさせていて、こんなこともわからないのか…と心底がっかりする日々。
とにかく勉強は家でもさせるしかない。



小学生になったら人間関係は少しづつ複雑になっていくし、勉強もあるから、来年度以降は幼児期とは違った大変さがあると思う。
でもそれは定型発達のお子さんを育てる親も同じ。
まだまだ子育てに気は抜けませんし、気が抜けそうになることもあるけれど、気を引き締めないとと思っている。
発達障害児も発達するのだから。



この3年、楽しいことや嬉しいことよりも、精神的、体力的にも辛いことの方が多かったような気がする。
しんどくなったときは、主人が結構息子の面倒をみてくれたなぁ。
家族ってありがたいけど、一緒にいると大変な存在だなぁと思う。