自閉症スペクトラムと診断されて

2歳で境界知能ASDと診断された普通級に通う6年生男児を育てる母の子育て記録

自閉症スペクトラム マッサージ

ここ数ヶ月、息子が足が痛いと言うんですね。
ふくらはぎかな?と思ったら、足の裏が痛いらしい。
主人や私が足をマッサージすると、「もっとやってー!!」と催促される。
で、夜寝る前に毎日ではありませんが、気がついたときに足の裏を中心にマッサージして、足の裏に湿布を貼って寝かせてたりしています。


マッサージをして、息子の何かが変わった実感はありませんが、調べると下記の論文を見つけて、発達障害児には親がマッサージをしてあげたほうがいいんだなと思いました。
デメリットは親が疲れる。くらいでしょうか。




ネットで見つけた論文


発達障がいをもつ子ども達にとってマッサージは、

1)自律神経の調整に役立ち、さらに攻撃的行動や対人関係に変化をもたらす

2)親(身近な大人)との情緒的絆を築く助けとなり、触れられることに耐えるといった基本的な自己コントロールの力をもたらす、ことが示された。


そのことから、触れられる体験の必要性および緊張(警戒状態)からの回復という点で、発達障がいを抱える子ども達に対する早期からの足裏マッサージは有効と考えられた。




発達障がいについて、発達障がいを抱える子ども達への家庭や教育の場での関わりについて、数多くの本が出版されている。
しかしそのほとんどは子どもの攻撃性や社会性等その行動特性に注目したものである。
確かにその特異的な行動は周囲との生活のなかで目立ち、問題とされがちであるが、しかし発達障がいを抱える当事者の側から見ると、子ども達はそうした行動をとらざるを得ない背景として、さまざまな生理的な困難を抱えているのではないだろうか。


神経学的あるいは生理学的な側面から発達障がいを見いだそうと日々研究が進められている。
しかし現在のところ脳の機能障がいであることは言われているが、その原因はまだわかっていない。そういった現状のなかで、子ども達は薬物治療や心理学的な治療・療育を続けているが、やはりそれは行動上の問題を軽減することへの注目から考えられている。
本稿では、発達障がいの子どもが抱える生理的な困難さに注目し、その軽減や解消をめぐる方
法として試みられ始めているマッサージについて考察する。


1.発達障がいと自律神経の調整機能
発達障がいを抱える子どもたちは、

「注意・集中が苦手である」

「非常に敏感な感覚部分と非常に鈍感な部分という両極端の感覚をもつ」

「衝動・欲求をコントロールするのが苦手」

「片付けが苦手」

などの特徴をもつ。これらの行動は、周囲の人々に対して大きな混乱と不安を引き起こし
ているため、集団生活上問題とされることが多い。


一方発達障がいをもつ子どものほとんどに見られるもう一つの特徴として、きちんとした診断
がつかないまでも次のような自律神経の機能不全があげられる。

たとえば、なかなか寝付けない、
起きにくい、夢遊病、寝言を言う、悪夢をみるなどの睡眠障がい、寒さをあまり感じないため真冬でも半袖半ズボン・裸足で過ごす、なかなか汗がかけなくて夏の蒸し暑さにとても弱い、すぐにバテてしまう、などの体温調整の不調、大食漢だがやせている、下痢気味、便秘気味など消化不良である。


このような状態について神経心理学の研究では、「注意欠陥/多動性障がいをもつ人は副交感神
経、とりわけ迷走神経の働きが比較的弱いと言われてい
るという。


つまり注意力が散漫な状態も多動な状態も、ともに交感神経が優位な状態であり、それは「重要でない刺激への関心を制御できないために常に緊張している状態」

と考えるのである。こうしたことは、アスペルガーを抱える人たちにも「疲労感に対して鈍い」「ト
イレは直前まで気づかない」「体温調節ができない」という表現から共通した状況を見いだすことができる。

不眠や体温調整の不調、あるいは便秘・下痢などの状態は、発達障がいを抱えている、いない
に関係なく、ストレスが過剰にかかっているときや更年期障がい等でも一般的に見られる状態で
ある。
そうしたときの状態から身体の状況を想像してみると、自律神経が適切に機能しない状態
は身体的にも精神的にも苦痛であり、日常生活にも支障がでることもまれではない。たとえ遅刻をしないでがんばって行こうと思っても朝なかなか目覚めず身体が動かないために、時間通り出かけられない。暑い中でもサッカーを友達と楽しもうとボールを追いかけても、すぐにバテてしまう。こうした体験は子ども達にとって日常生活において意欲や集中力を減少させ、さらには結果としてみんなと同じようにできない自分を感じ、自信を失うことにつながるだろう。



発達障がいをもつ子ども達の日常は、このような生理的困難そのものが苦痛であり、それへの対応で全神経を常に尖らせている(緊張させている)状態といえる。したがって日常生活あるいは周囲の仲間や状態に注意や関心を払い、広げていくことは非常に困難であろう。
そこでこうした生理的困難さを少しでも緩和・減少させることは、生活そのものを楽しく楽にしていくことにつながり、さらには、快適なゆったりした状態で他者や環境と向き合うことができれば、行動の改善も可能になると思われる。これまで多動や注意集中困難な状態についてはリタリンあるいはメチルフェニデートといった向精神薬が使われてきたが、依存性があるなど大きな副作用が報告されている。また不眠や消化不良、抑うつ状態等についても、重篤な場合は薬物での治療が行われてきたが、長期に渡って飲み続けることで、これらについても子どもの身体への大きな負担が心配される。
こうした観点から、近年身体に負担のないマッサージの効果について調査が進められている。

2.身体と足のマッサージ
統合医療の分野では代替治療として、自律神経の調整を目的としたボディーマッサージや足の
反射区を利用したリフレクソロジーの施術が行われており、これに関する調査研究も最近 10 年程
の間に試みられている。
1)マッサージ
ヨーロッパでは古くからマッサージが行われており、抑うつ、痛み、免疫疾患、仕事や老化および妊娠に関するストレス状態に関して、症状の緩和・軽減効果をもたらすという多くの臨床が蓄積されている。そこでは、強いタッチのマッサージによる副交感神経の高まりが、こうした効果をもたらすメカニズムの根底にあると考えられている。また生化学的な研究においても、マッサージを通じて発散されすぎていたコルチゾールが減少しストレスが緩和すること、神経伝達物質であるセロトニンドーパミンが増加することで身体的に活性化されることがわかっている。そうしたなかで、近年自閉症ADHD を初めさまざまな障がいをもつ子ども達に対するマッサージの効果について調査研究が進められている。


自閉症と親子の絆
マッサージセラピー後の自閉症児の行動改善についてアメリカの調査研究がある。
20 人の自閉症の子ども(3~6歳)を二つに分け1ヶ月間、マッサージグループは毎晩寝る前に 15 分間親が腕、手、足、胸と腹、背中をマッサージし、非マッサージグループには毎晩寝る前にお話を読んで聞かせた。その結果、集団保育場面での観察において、マッサージグループは非マッサージグループに比べ保育室や園庭では集中力が高まり、ステレオタイプの行動が減少し、物事に取り組みやり遂げる力があがり、社会性についても改善された。これはマッサージにより副交感神経の活動が高まった結果であるという。さらに夜ベッドに置いていかれると大騒ぎしたり泣き叫んだり自傷行為をしたりという状態も見られなくなり、深い眠りにつくといった睡眠の改善が見られた。


イギリスでは、自閉症の子どもに対し親がマッサージをすることによって得られる効果が測られている。9人の自閉症児(2~13 歳)に、それぞれの親がマッサージを習い、16 週間毎晩施術した。施術前と施術中および施術後におけるインタヴューと、記入されたシートをもとに分析が行われた。その結果、親は施術前には基本的に子どもに近づくことができないと感じ悩んでいたが、マッサージを続けた後には、身体的にも心理的にも子どもに近づ
いた感じがするという。また子どもの変化としては、マッサージを受けて睡眠のパターンが改善したように見受けられ、よりリラックスし、親に触れられても心地よくしたがっている様子が見られた。さらに家で子どもがマッサージを要求するようになったという。こうしたことから、自閉症児に対する親のマッサージは親子の情緒的な絆を強める助けとなるという。

ADHDと穏やかなマッサージ
Field は、アメリカで ADHD の青年がマッサージセラピーから得る効果を調査している。
28 人の ADHD の子ども達(平均 14.6 歳)を2つのグループに分け、1日 15 分のセッ
ションを学校で連続 10 日間、一方にはマッサージセラピー(セラピストが穏やかなストローク
首の上下、首から肩への上下、首から腰、腰から脊椎に沿って首へとそれぞれ5分マッサージす
る)を、もう一方にはリラクゼーションセラピー(マッサージグループと同じ箇所を緊張させた
り弛緩させたりする)を行った。その結果、リラクゼーションのグループとは異なり、マッサー
ジグループの子ども達はよりハッピーになったと自己評価し、また第三者の観察においてもセッ
ション後そわそわする様子が少なくなったという評価だった。さらにその後の2週間において、
マッサージグループの子ども達は授業中やるべき仕事をしっかり行い、多動についても減少した
と、子ども達の所属したグループについて知らない教師からの報告があった。このことからマッサージセラピーは、ADHD の子どもの多動レベルを下げると考えられるという。


スウェーデンでは、マッサージによる就学前の子どもの攻撃性を軽減する効果についての研究がある。
市内のデイケアセンターにいる4~5歳児に対し、午睡時(午後の休息時間)の休憩室で、9つのセンター(60 人)ではスタッフが毎日マッサージをし(マッサージグループ)、6つのセンター(50 人)では全体でお話や音楽を聴く(コントロールグループ)という活動を課業とした。
マッサージは一人5~10 分行われ、それぞれの場所を少なくとも3~4回ゆっくり叩き、痛くない程度に揉んだ。最初はどの子どもも背中から始め、子どもが望めば他の場所に広げていくという方法をとった。これは子どもが心地よいと感じることがとても大事であるという考えからとられたもので、一人ひとりの感覚に合わせて行われた。
多くの子どもは手、腕、背中、首のマッサージを望み、拒否した子どもはいなかった。
親とスタッフによる子どもの行動チェックが、マッサージを始める前、3ヶ月後、6ヶ月後、12 ヶ月後になされそれらを統計的に分析した結果、全体的には両グループとも子ども達の社会性や注意力、攻撃力の問題が改善し、グループ間の違いはなかった。
しかし、全体の中から攻撃性や逸脱行動のある子どもを抜き出して分析してみると、マッサージグループの子ども達は、攻撃性や身体的問題に関して3~6ヶ月後の評価で大きく減少しており、社会性の問題も6ヶ月後には減少していた。
また 12 ヶ月後には、攻撃性がさらに減少または消失していた。一方コントロールグループでは、攻撃性は一般的に年齢とともに減少すると言われているにもかかわらず、3ヶ月後の評価では改善されているのに、3~6ヶ月後の評価では悪化していることが示された。このことから、デイケアのスタッフがマッサージを行うことで、長期的にみて子ども達へのマッサージ効果は強化され、維持されたと考えられるという。


こうした研究から次の2つのことが考えられる。

自律神経の調整と行動の変化

マッサージにより自律神経の調整が行われると、それによって子どもの抱える身体的な苦痛が鎮痛・緩和され、また攻撃性が高く注意力散漫な行動の調節を促進する効果が現れるというプロ
セスがある。ここでいうマッサージがもたらす自律神経系への刺激は、マッサージ前後に測定さ
れた深部体温、血圧、心拍数の変化により確認されており、身体的苦痛の鎮痛・緩和や逸脱行動に関する調整機能の促進は、こうしたリラクゼーションの体験のなかで現れるものと考えられる。


大事な人との情緒的絆と自己コントロール
子どもはマッサージにより、それを施してくれた相手との間に情緒的で親密な絆をつくることが期待される。その相手とは子どもにとって身近な大人であり、その多くが親であり、時には保育スタッフや教師である。
スウェーデンの研究においても 10 歳以下の小さな子どもたちに対して「個人に合わせたマッサージ」「個人への注目」など、子どもと1対1で向き合う関係作りが意図されている。
さらに自閉症の子どもたちがもつ感覚過敏の障がいは、親に触れられることにより改善していくことが示されている。やさしく触れられることによる心地よさを体験すると、次第に触れられることを受け入れ理解し、楽しむ子どもたちの様子が観察されている。これは、子どもたちがこうした触れられる経験を通して、触れられることに耐えるといった基本的な自己コントロールの力をえたのではないかと考えられる。それは、子どもたちは自分一人の世界から共有する世界へと歩き出すベースとなり、実際にこうした調査においても言語的にも非言語的にも、より高いコミュニケーションをとることが明らかになった。
このように、子どもが心地よい身体的体験を共有することにより親(あるいは身近な大人)と子どもの情緒的絆(アタッチメント)ができると同時に、
「ここをマッサージして!」という要求とそれに
答えるやり取りとして子どもの身体への共有が起こる。そこからさまざまな事柄への親子の共有が広がった。



日本では、足裏の反射区を刺激すると対応する身体の部分の血流が良くなることを実験している。
腰椎と僧帽筋に当たる足の反射区を手で揉み、揉む前と揉んだ後の実際の腰と肩の血流の変化をサーモグラフで測っている。それぞれ5分間強めに刺激すると、11 分後あるいは3分後にサーモグラフィの変化から血流が増えていることがわかった。
また、足の内側のくるぶしの下にある後頸骨動脈の血流速を血流速計で測っている。結果は、初めて揉んだときには、揉む前と後では大きな違いはなかったが、毎日揉み続け3ヶ月後、5ヶ月後、1年1ヶ月後には揉む前より揉んだ後の方が血流はかなり多くなっており、さらに各回の測定値は揉む前も揉んだ後も確実に高くなっていった。このことから、長期に渡って足を揉み続けることは、身体の血液循環の改善に大いに役立つという。

機能的 MRI を用いて足裏反射区の刺激に対する脳の反応箇所を測定した研究もある。
18~41 歳の 25 人に対して目、肩、小腸にあたる左足裏の反射区を5秒ずつ 15回刺激し、それが脳のどの部位に反応するのかを機能的 MRI を使って測定した。分析の結果、目の反射区を押すと大脳の左側中心後回の中央部が、小腸の反射区では左側中心後回の上部がそれぞれ有意に活性化した。左側中心後回は体性感覚領域であり、中央部は目を含む顔に対応する領域、上部が体幹の感覚領域に対応する領域と言われている。
肩の反射区への刺激については有意な脳活動は認められなかったが、右側中心後回上側の上腕に対する領域の活性化の傾向が見られ
た。さらに3つの反射区の刺激に対して共通した反応として、右側中心後回上側と左側中心後回中央部が活性化した。前者は足に対する感覚領域であることから、左足の感覚刺激に対する活性化と考えられるという。

後者については、リフレクソロジーによる刺激に対し、何か特異的な反応をする領域である可能性が示唆されている。
こうした生理学のデータからわかることは、①リフレクソロジーによって施術中は副交感神経が刺激されリラックス状態になり、全身の血行もよくなる②揉むことを長期間続けることにより血行の良い状態(自律神経の調整が良好)を維持することが可能となることである。また反射区と身体の部位との関係については、それぞれ対応する箇所がある可能性が示唆されている。



発達障がいを抱える子ども達への足裏マッサージ
触られる(touch)体験の必要性

子どもがマッサージを受けるということは、その間他の人に触れられているということである。
これまで見てきたように子ども達は毎日必ず 10 分~15分大事な人からやさしく触られることで、
自律神経の機能がうまく働き、さらに心地よい体験を通して、緊張がとれ優しく触ってくれる人
との心理的絆ができてくる。これは、通常子どもが生まれてから早期に体験する一連のプロセスである。

ところが、発達障がいを抱える子ども達は、感覚異常といった障がいゆえに、多くの子どもにとって心地よい「抱かれる・触られる」行為が生理的に苦痛なものであることから、こうした機会が少ないことが容易に想像される。さらに、子どもが触られること・抱かれることをいやがるだけでなく、一緒に生活する大人(親)の方も、子どもを抱きあげようとすると泣かれたり無視されたりといった経験が重なり、多くの場合次第にこの子に触ってはいけないと思ったり抱くことをもあきらめていくことになる。こうした日々のなかで、当然のことながら子どもの身体は緊張を増し、本来持つ感覚の敏感さあるいは鈍さがますます強固になっていくと考えられる。
したがって、こうした子ども達は触られることへの抵抗が少しでも弱いできるだけ早い時期からマッサージを受けることで、触られて全身が弛緩する心地よさを知ることが重要と思われる。
身体の弛緩における副交感神経の働きが高まれば、自律神経の機能がうまく働き、睡眠や体温調節などのコントロールが可能となり、さらに知覚に関するコントロールの促進も期待できる。


足裏マッサージの意義
足裏のマッサージについての効果を探る試みは、全身のマッサージと異なり、子ども、さらには発達障がいを抱える子どもに対してほとんど行われていないため、実際にその効果を裏付けるデータが無い現状にある。しかし大人への足裏マッサージあるいは足裏反射区への刺激(リフレクソロジー)によって、身体の血液循環が促進され、同時にストレス時に見られるような心理的苦痛からの回復が報告されている。
ところで、動物は歩行することで、身体の末梢にある足裏は常にさまざまな刺激を受け、それにより血行が促されていると考えられる。身体の末梢の血行が良くなるということは、身体全体の血行が促進されなければならず、歩くことによってそれが自然に促されていたと推測できる。
しかし人間は二足歩行となり、さらに靴をはくことで足の指や足裏が固定され歪められて、血行が悪くなっていく。四本の足で体重を支えていたものが、半分の二本の足で全身を支えることになると、当然のことながら二本の足への負担は大きいものとなる。しかも従来の前足に当たる人間の手は、道具を使ったり触ったりすることで常に刺激を受け続けているが、後ろ足については、以前のように生活のなかで自然に血流が良くなることが少なくなってきたのではないだろうか。
そうなると、自ずと足の疲れも回復しないままとなる。
足裏を揉む行為は、全身のマッサージと異なり、直接足を刺激して血行を促すものであり、先
の生理的実験が示すように全身を揉まなくても足だけで全身の血液循環をも促すことが可能となる。
Jissen Women's University
NII-Electronic Library Service

THE BULLETIN OF JISSEN WOMEN’S JUNIOR COLLEGE VOL.31 (2010)
― 57 ―

このことはその昔、私たち人間が裸足で歩いていた時代の自然なマッサージのプロセスと重
なる。また運動をして血行を良くすることに比べ、足裏のマッサージは副交感神経を優位に働か
せるため、心拍数は下がり心臓への負担が少ないことがわかっている。
したがって同じ時間マッサージをするのであれば、全身ではなく足裏に時間をかける方法が有効ではないかと思われる。


おわりに
発達障がいを抱える子ども達にとって、身体の緊張をほぐし人間関係の基礎となる身近な大人
との情緒的な絆を築くうえで、早期から定期的にマッサージをすることは重要であり、とりわけ
足の裏へのマッサージは効果が高いと考えてきた。薬を飲むことに比べ副作用はなく経済的な負担もほとんどない、さらにだれでも気軽にできるという点でも足裏のマッサージは注目できる。

発達の遅れ、気になるところ

最近、作業療法でハサミの練習をやった息子。
だいぶ出来るようになったと思ってしばらく自宅でやっていなかったら…
全然出来てませんでした。
出来なくなってました。
まっすぐ切れてないし、親指のはらが下を向いた状態で切ってるし。
おかしいの。
本当にがっかり。
やっぱり手先が極端に不器用。



最近自宅でハサミを使う練習していなかったし、療育クラスでもまったくやってない。
幼稚園も運動会の練習ばかりだっただろうから、ハサミやってないんだろうな。
いつかは普通に使えるようになると思うけど、ちょっと恥ずかしいレベル。
年齢相応には使えてない。



ハサミもできないくらい手先がアレなんで、お箸も使えてないっぽい。
自宅では嫌がるし、お箸をテーブルに置いても絶対に使わない。
エジソン箸を毎日お弁当袋に入れてるけど、「お箸使った?」って聞くと「使ってない」って答えが帰ってくるのよね。
切ない…




年長になったら、お友達にバカにされたりしちゃうのかな?
もしそんなことがあったらかわいそうだなとか思っちゃう。親だからね。
息子はバカにされたことすら、気が付かないかもしれないけど。
変にプライドだけは高い息子だから、お友達や先生に言われたら頑張るかもしれない。
最近手先の練習は後回しになってる。
おりがみも簡単な飛行機すら折れないし。




それと現在4歳10ヶ月の息子ですが、未だに夜おむつを付けて寝ています。
おねしょも週に1〜2回してる。
最近寝る前にトイレに行かせると、おねしょをしなくなりましたが、少し前までは寝る前にトイレに行かせていてもおねしょをしてたから、膀胱が大きくなってためられるようになったんですかね。



最近、療育と習い事、自分の仕事で手一杯で、家ではのんびり過ごしていて、療育っぽいことしてないのよね、私。
就学まであと1年5ヶ月。
焦ってどうにかなることではないけれど、のんびりもしてられない。

運動会 年中

4歳の息子が通う幼稚園で、最近運動会が終わりました。



幼稚園から特に連絡もありませんでしたし、昨年の運動会も息子は頑張っていたので、今年も大丈夫だろうと思ってあまり心配はしていませんでした。
いつもなら幼稚園の行事は面倒くさいし、楽しみじゃない。息子が他のお子さんとは違うのを目の当たりにしたくない。息子がちゃんとやれてないのを見るのが辛いので行きたくないと思うのに、今回はそんな風に感じなくていいのは、息子が行事では集中して頑張れる子に成長したことと、不適切な行動が激減したからだと思います。




息子には、ママは◯◯くん(息子)が一生懸命頑張ってる姿が見たい。
かけっこの順番は気にしなくていいから、踊りも自分が持ってる力をぜーんぶ出して頑張ろうね。と前日にお約束しました。




運動会の後半、他のお子さんが疲れてダラダラしてしまっている中、息子はじっとしているべきところではじっとしていて、泣くことも涙ぐむこともまったくなかったし、集中していた。
本人の出せる力を全て出し切って頑張っていました。
かけっこも遅いし、踊りも見栄えがいいわけではないけれど、一生懸命踊ったり、走ったりしているのがよくわかりました。毎日練習を頑張っていたのだと思います。
それだけで100点満点。




息子の出番と出番の間に、お友達と楽しそうに過して、一緒に大人しく座っている姿を見て嬉しくなりましたね。
かわいかったし、とても微笑ましかったです。
子どもには子どもの世界があるんですね。
仲良くできるお友達がいて本当によかった。




実家の両親がどうしても運動会を観に行きたいと言うし、息子もじいじとばあばに来てもらいたいと懇願するので、今回も来てもらうことになりました。
少しは私の両親への親孝行になったかなと思います。
孫は無条件にかわいいようですしね。(祖父母に診断名は教えていない)




息子には発達障害があるけれど、今のところは何とか大きな問題が起こることなくやれている。
2歳の自閉全開な頃を思い出すと、現在のいろんな場面に適応している息子の状態は奇跡とさえ思います。
息子くん、運動会頑張ったね。
お疲れ様でした。

発達障害 早期診断早期療育

巷ではNHKで何度も特集が組まれるくらい、発達障害というものが多少なりとも認知られるようになりましたし、ちょっとしたブームのようなものが、少なくとも1年以上は続いてる。
私も以前からLDとか自閉症とか、知ってはいるものの大変だなーと思うだけで、息子が自閉症スペクトラムと診断されるまで、関係ない話だと思ってました。



早期診断早期療育の重要性を専門医が言っていたり、発達障害のお子さんを育てている親御さんも口々に早期診断早期療育を受けて良かったとおっしゃいます。
うちの地域は支援学級や通級クラスを利用するお子さんが毎年増えている現状もあり、中にはそれがうまく行っていないのでは?と指摘される方もいます。




自閉症スペクトラム児を育てる私が思うことなのですが…


早期療育、早期診断されてわが家の場合は良かったと思っています。
息子のように、比較的早期に専門医に診てもらうに至るということは、日々親が子どもに違和感や育児困難をとても感じていたということ。
育児困難や発達の遅れを親だけではどうやっても解決できなかったんです。



勇気を出して早期に病院に行き、診断され、主治医と出会えたり療育につなげられた事は、悩みに対する解決手段を提案してもらったり、話を聞いてもらったり出来ましたから、息子と親にとって結果として良かったと思っています。
診断名や発達が遅れている現状を知り、悲しかったり、死んでしまいたいと思い詰めるほど辛かったりしたのも事実ですが、息子の現状がわかったことで、今までとは違う考えや方法で育てていく必要に迫られ、気がつくことが出来ました。



週1回程度の療育が必要と検査結果に主治医が記載してくださったおかげで、息子は集団と個別の公的療育を年少から受けることができました。
療育のおかげなのかはわかりませんが、結果的に幼稚園でも大きな困り事も無く、自宅でも息子に対する扱いにくさがかなり減ってきています。
子育ての事を深く考えたり、調べたり、良いと思った事は実践してみることが今も続いています。



集団療育クラスに通えたことで

・私達と同じような方々と話せたり情報交換できる

・療育の先生に困り事を相談出来る

・息子の苦手なことや新しい課題がわかる

・親では気がつかない息子の良い部分、気になる部分を教えていただいたり、アドバイスを受けたりと第三者の意見が聞ける

・療育クラスでは少人数での課題や、大きなトランポリンやバランスボールを使った体への働きかけなどの幼稚園では出来ないような経験をさせてもらっている。

などなど…親にとってはとても有り難い場所で、遊びを通していろいろ学べるので、息子は毎回療育クラスを楽しみにしています。



公的療育は就学に向けて最低限必要なことを長い時間をかけて身に着ける場所だと思っています。
授業で座っていられる、大人の指示に従える、鉛筆やお箸を使えるようになるための手先の訓練、グループワークなどを通した人と関わる練習、感覚統合など。



公的療育でできること以上を親が求めるのであれば、家庭なり、別の場所で補うなど考えて子どもと関わっていかないといけないと親は思っていた方がいいでしょうね。
療育は何でも解決してくれる魔法ではないので。
子育ての基本は家庭ですからと主治医の先生から言われた事を思い出します。



私や息子と関わってくださった主治医や保健師、療育の先生には本当に感謝しています。
他の大多数の方々とは違う育児に日々悩んでいましたから、その現状が少しづつですが改善してきているし、本人も幼稚園で楽しく過ごしていますし、先生から何かを指摘されることはほぼありません。
身につけやすい時期にいろいろな角度からアプローチすることで、本人や親の困り感が減っているように感じています。



療育なんぞ受けなくとも、希望しているのにすでにいっぱいだからと受けられなかったとしても、立派に働ける大人に育てた親御さんもいらっしゃいます。
学校や園任せではなく、基本は親が子どもときちんと関わる。いろいろ教えていかないといけないんだと思います。



ただ私のように自分だけではどうしようもできない親が少なからずいるのも事実で、自分でどうにもならないことは誰かを頼っても良いのではないかな。その為に専門病院があるのですから。
療育や幼稚園、習い事での経験が大きく息子を成長させ、息子が小学生になってもうまくやっていける力になればいいなと思っています。
そして進学し、自分の事は自分で出来るように。
食べていけるくらい稼げる社会人になって欲しいというのが、親の一番の望みです。



個人的には早期診断早期療育に関してはデメリットは無いのではないかと思っています。
ただ、認められない親御さんの方が多いと思うので、子どもの問題をきっかけに夫婦が不仲になってしまったり、親御さんがいろいろ諦めてしまって子どもを放置してしまうとか、育てやすい定型発達の兄弟の方をかわいがってしまう。とか、逆に発達障害児の方に手をかけすぎてしまって、兄弟児まで手が回らずさみしい思いをさせてしまうとか、そういうデメリットはあるのかな?とも思います。
メリットとデメリットを天秤にかけたとき、メリットの方が明らかに大きい。



少しでも子どもの発達で気になることがあれば、病院に行くなり、専門の人に相談して子どもを良い方向に導いて行く。
園生活や学校生活で大きくつまづかないようにするため。また、社会人になって特性ゆえの大きな困り事で悩んだり、働けなくなったりしないように早期診断早期療育が存在していると思います。


親は子どもに対して普通に園や学校に通って、沢山の事を学び経験して欲しいものです。
たとえ診断が付かなかったとしても、困り感をお子さんなり先生、親の誰かが感じているなら、見てみぬふり、気が付かないふりはせずに行動して欲しいと思いますね。
世の中は、困っている人、一生懸命頑張っている人には案外優しいものですよ。

臨床心理士の講演会 相談5 子どもの違和感への対応の

【相談7】年中だが、他の子との違和感を本人が感じたときに声かけはどうしたらいいか?


幼児期に本人が他の子と比べて違和感を感じることはない。

例えば小学校で嫌われている。自分はいなくなったほうがいいと思い窓から飛び出そうとする。

手前まではあるが、本当に起こることは無い。

先生には危ない行動は無言で止めてもらう。

別の会話で気分を変えてみる。

不得意さを持っているお子さんは、何をやっても出来ないと言う。自信が崩れている。

グズでノロマだから嫌われている→不登校、登校渋り

ヘタだ→子どもの違和感にはあまりならないが10代後半に違和感を感じる事が多い。

本人が得意なことを大事にしてあげると良い。



………………………

講演会での内容は以上になります。



息子よりも少し年齢が下のお子さんの悩みが多かったように思いましたし、直接息子に役立つ事はそれほど多くはありませんでしたが、今知ることが出来てよかったと思える情報もあったので、お話を聞きに行ってよかったです。



講演会の臨床心理士の先生の話は、療育施設のお母さんからアンケートを取ったものの中から、いろんな質問の答えを織り交ぜながらお話していたのだそうです。
幼児期も就学後のお子さんの事を数多く見てきて、個別の発達相談だけではなく、園や学校にも巡回相談していらっしゃる、もうすぐ定年しそうな先生の経験値は、素人の私が話を聞いていてもすごいなーと思いました。
次は私も悩み相談アンケートにいろいろ書いてみよう。答えてもらえるかわからないけど。

臨床心理士の講演会 相談4 泣く、拒否

【相談5】はじめての場所では必ず泣く 
慣れにくさを持っている。はじめてが苦手


場所の変化など、最初の1回ははじめてに近い緊張感。予測を持つことが苦手。見通しが身につかない。
泣くことが自己調整機能。

例えば、はじめての場所では必ず泣くという、予定通りの行動をすることで、安定感をはかっている。
子どもがはじめての場所だとそういう流れになっている。もっと慣れれば変わるはず。

園や習い事なら、いち早く預けちゃった方がいい。ハイタッチをするのも有効。





【相談6】新しいものを受け入れてくれない


変化がイヤ。クセ、こだわり化。
いつも通りのものを確認して、理解している行動。
先が読み取れなかったり、世の中に対して小さい頃から怖いと思っている。
押し寄せてくる不安があるから変化が嫌い。
動きが読み取れないので、予測がつかないのが怖い。
生きていく上で必要な恐怖で本人のせいではない。

幼児は自分を客観視できない。

○○したら××しようね。1つづつわかるようになると変わっていく。

臨床心理士の講演会 相談3 こだわり

【相談3】こだわり
質問癖→生きがいのように質問したがる
何回も同じ事を聞く


何回も聞くことで子どもは気持ちが安定する。
何時に行く?と子どもが何度も聞いてくるなら、親が逆に何時に行く?と聞いてみる。

言葉がけのとき1人称表現にする
「10時に 公園 行きます」

先生や親は命令しているようで嫌がる人が多いが命令ではない。
子どもは自分がやるように大人が言ってくれるのは、一番ストンと落ちる。
特に自閉症スペクトラムの子どもに有効。
命令では無く学習を促している。
あれこれ細やかにかみ砕いて言うと子どもはわかりにくい。
端的に削ぎ落とされた言葉から子どもは内容をつかんでいる。




【相談4】こだわり 勝ち負け 一等へのこだわりが多い


癇癪、泣くなどがあればその場から移動させる。
○○くんは嫌なんだよ。とか相手の気持ちを言ってもわからない。
舐めたり、噛んだりしたら、「やめようね」と声掛けして、出来たら10秒くらいで褒める。
どうしてやるの?ママの気持ちわかる?
ママの気持ちを無視した行動。

幼児期の子どもが理解するのは難しい領域。
情緒的な結び付きが難しいお子さんも、大きくなると変わって行く。
一番じゃないと嫌だとかは、こだわっている世の中があるからそう思う。なら、例えば大人が他に賞を作ればいい。
固定した気持ちで止まってるけど、大人の工夫で変わっていく。周辺の大人の工夫が必要。
他のものへの価値観を覚えて行けば変わる。
例えばカードゲームをしていても、何回かやれば勝てるのだと理解できれば子どもも変わる。

一番は無くさなくてもいいけど、大したことではない。興奮したら、タイムアウトする。